2023年9月17日、桐光学園サッカー場で、高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2023 関東2部 第12節「桐光学園高校(以下、桐光学園)対 國學院久我山高校(以下、國學院久我山)」の一戦が行われ、激しい点の取り合いを桐光学園が4-3と制し、前日に勝利を挙げ暫定首位となった栃木SC U-18を再び勝ち点で上回り首位に返り咲いた。
「ここ数ヶ月で一番不甲斐ない試合でした。」試合後の桐光学園・鈴木勝大監督の口は重かった。試合開始時の気温は28.5度、湿度は56%だったが、時間の経過と共に湿度が上昇、飲水のタイミングも掴みづらく、いつも通りのつもりが一秒、一歩と遅れ、イージーなミスからピンチを迎えるとそれを懸命の守備で切り抜けると言った展開が続く。
そんな厳しいコンディションの中で先制したのは國學院久我山。40分、MF菅井友喜(8)からのパスを受けたMF山脇舞斗(10)が右サイドで粘り折り返すとエリアに走り込んだMF小宮将生(20)がこれを綺麗に合わせネットを揺らす。
手痛い失点で追う展開となった桐光学園は、後半に入ると前線にMF吉田晃大(16)を投入、この交代がピタリとハマる。53分、右サイドからカットインして放ったMF松田悠世(10)のシュートをGK太田陽彩(1)がセーブするもこぼれ球を拾った松田が吉田にパス。吉田がこれを蹴り込み、先ずは試合を振り出しに戻す。
勢いに乗る桐光学園はここから一気に攻撃のギアを上げると58分には、松田のスルーパスを受けたFW宮下拓弥(9)がシュート。ここも再び太田が止めるが、こぼれ球に反応したDF加藤竣(6)が押し込み逆転。
更に68分には宮下からの浮き球を松田が決めて3点目、73分には、中盤で相手ボールを奪った宮下がドリブルで独走、落ち着いて決めて4-1とリードを広げ、桐光学園の圧勝かと思われたが…
83分、國學院久我山は、後半から投入されたFW佐々木羽遥(12)がドリブルの独走からGKを交わして1点を返すとアディショナルタイムには佐々木からパスを受けた山脇がゴール前で冷静に決めて1点差に詰め寄る。
しかし桐光学園もゲーム終盤に投入されたFW浦上大和(25)が必死のボールキープで時間を使い、國學院久我山の反撃を凌ぎ切り、結局4-3と首の皮一枚で逃げ切り、勝ち点3を獲得、再び首位に返り咲いた。
「ウチらしさを欠いたゲームでした。こういうゲームをしていると昇格や神奈川県代表は無いと思います。(プリンスリーグ)再開後2連勝しましたが、頭を叩かれた様な気分です。目を覚まして次の桐蔭学園とのゲームに準備しないといけない。」と不甲斐ない展開が続いた試合内容に苦言を呈した。反面「1ゲームで3失点というのは非常にダメージが大きい。こういうゲームをしないようにまずは守備の修正と(この試合で)出来ていなかった気持ちのセットを一週間かけて、毎試合かけて、リーグをしっかりと戦いながら選手権に入っていきたいと思います。」と次へ向けての修正を誓った。
惜しくもあと一歩及ばなかった國學院久我山。しかし、重くなった足を動かし、あと一歩のところまで迫った。試合後、多くの選手は、汗でびっしょりと濡れたユニフォームを脱ぐ事もなく、暫くの間俯き、動く事がなかった。
どちらに転んでも可笑しくない試合。双方共に選手権予選を控え、修正点が多かったこの試合は足元を見つめ直すのには貴重な戦いとなった。実りを得るために今日の経験を無駄にする事なく『次』へ活かしていって欲しい。
(取材・文 Kazuhiro.N)