2023年8月12日、レモンガススタジアム平塚で、KANAGAWA CHALLENGE CUP 2023「神奈川県U-17選抜(以下、神奈川選抜)対 静岡県U-17高体連選抜(以下、静岡選抜)」の一戦が行われた。
静岡選抜ボールのキックオフで始まったこのゲーム、序盤は共に出方を伺う展開で攻守の切り替えが激しく試合は膠着する。
しかし徐々に神奈川選抜のボールが繋がり出すと20分、MF福田裕翔(8・横浜創英)のスルーパスに反応したMF吉田晃大(9・桐光学園)がシュートに持ち込むがこれは惜しくもサイドネット。直後の21分にはDF佐藤碧(3・東海大相模)からの折り返しにMF宮澤朋哉(7・日大藤沢)が飛び込むがミートしきれずボールは枠外へ。宮澤は30分にも佐藤からのアーリークロスにGK高田翔(1・清水桜が丘)との1対1の局面を迎えるが、ここは高田に軍配が上がりゴールを奪う事が出来ず、勝負は後半に持ち越される。
後半に入っても神奈川選抜の攻勢は続く。
立ち上がりの47分には、セカンドボールを回収した佐藤からのクロスにMF沖本陸(10・東海大相模)が頭で合わせるものの枠外。直後の49分には、吉田が距離の長いドリブルからシュートを放つがファーポストの右へ抜けてしまう。
ようやく試合が動いたのは67分。ペナルティエリア内に侵入したFW丸茂晴翔(11・桐光学園)がシュート体制に入ろうとしたところを倒されPKを獲得。丸茂は、自らこのPKをゴール左隅に突き刺し、神奈川選抜が待望の先制点を挙げる。
しかし、喜びも束の間、飲水明けの70分、「もっとハッキリやれば良かった」とキャプテンのDF青谷舜(5・桐光学園)が悔やんだ様に一瞬の寄せの甘さを突いてDFの裏を取ったMF川嶋琉之亮(16・浜名)のクロスをゴール前に抜け出したFW青井椰砥(17・浜松開誠館)に仕留められ試合は振り出しに戻る。
ホームチームとして何としても勝利で終わらせたい神奈川選抜は、一気に4枚の交代カードを切って勝負に出ると81分には、DF平野俊祐(13・日大藤沢)が、右サイドからの折り返しを合わせるがDFに阻まれ得点出来ず。直後のCKではDF杉野太一(2・桐光学園)がファーサイドで合わせるものの、こちらはサイドネット。
終盤の88分には、ゴール正面でボールを受けたMF岡部虎太朗(6・FCグラシア相模原)が渾身のシュートを放つものの「冷静に相手のシュートが見れて、持ち味のシュートストップを発揮出来た」というGK戸塚陸(12・浜松開誠館)の好セーブで遭いゴールならず。ATには平野からの折り返しをMF五十嵐将(17・桐光学園)がヘディングするがDFがクリア、更にセカンドボールを五十嵐がダイレクトで合わせるが、ボールは無情にもクロスバーの上を通過。
結局、静岡選抜が神奈川選抜の猛攻を凌ぎ、1-1の引き分けで試合を終えた。
試合後のインタビューで神奈川選抜・箕輪義信監督は「前半は(試合前の散水で)思いの外スリッピーな天然芝にドタバタしてしまいましたが、上手く修正して多くのチャンスを作れた事には監督として満足しています。」と選手のスキルの高さとアイデアの豊富さを評価した。
また、今回、U-17県選抜の対戦という新しい試みに賛同・参加した静岡県選抜・植松弘樹監督は「なかなか集まる機会がない中で自分たちのストロングポイントを出しながら戦ってくれましたが、圧力に押されて苦しい展開が続いてしまった。それでも粘り強く戦って先制されても慌てずに追いついてくれた。」と終始冷静に戦った選手たちの頑張りを讃えた。
国体(U-16)を終え、高校2年生という谷間の時期に、様々な状況でサッカーをしている選手たちが集まった今回のU-17選抜の一戦。同じ歳の他チームの選手とボールを蹴り合いながら、自分も顧みる事が出来た良い機会となったのは間違いないだろう。この試みが他の地域にも広がっていく事を一育成年代ファンとして大いに期待したい。
(取材・文 Kazuhiro.N)