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『Football を通して人作りを目指す』都立片倉高校主催 第8回 片倉高校少年サッカー大会 

2024年3月3日(日)、東京都八王子市にある日本文化大學のNICHIBUN SAKURA FIELDにて、東京都立片倉高校主催第8回 片倉少年サッカー大会』が行われた。大会は年3回の学期末に開催され、大会運営などはすべて片倉高校の選手たちが行う。

参加チームは、片倉高校の選手たちがかつてお世話になったジュニアチームを中心に招待。地域貢献と出身チームへの恩返し、選手たちの成長した姿を見てもらう機会として始められたという少年サッカー大会。第102回全国高校サッカー選手権東京都予選ではベスト8進出も記憶に新しい片倉高校サッカー部。そんな片倉高校サッカー部を率いる顧問の本宿博史先生に、長年部活動に携わってきた中で、部活動の一環として少年サッカー大会を開催するようになった経緯や高校生の育成について話を伺った。

ーはじめに、先生ご自身の経歴を教えてください!
中学は葛飾区立亀有中学校出身で陸上部でした。長距離では常に都大会出場、23区内では敵なしでしたが、多摩地区の選手が入ると…8番目でした(笑)。なぜサッカー部ではないかというと、当時の下町の学校は荒廃していて、サッカー部はヤンキーの溜まり場になるということでサッカー部を作ってくれませんでした。

ーということは、競技サッカーを始めたのは高校からですか?
はい。都立墨田川高校に進学し部活で競技サッカーを始めました。東京学芸大学を卒業し教員になり東京教員チーム、そしてシニアチームで現在もプレーしています。生涯現役を目指します!!

ー部活動の指導歴を教えてください!
都立秋川高校、都立小岩高校、都立三宅高校、都立新宿高校、都立野津田高校、都立府中東高校、そして現在勤める都立片倉高校です。

ー三宅島にも赴任されていたのですね!島での部活動はどんな様子でしたか?!
丁度、フランスワールドカップの時に赴任して島もサッカーブームになり始めた頃でした。それまでは、4人。まぁ、同好会レベル。そこに一気に新一年生が12人入部。大会は船に揺られて6時間、竹芝桟橋着いて直ぐそばの芝商業高校で練習。翌日の試合に備えました。

大会が終わると夜10時半の船で朝5時に到着。そこから学校の授業。竹芝桟橋のマックはお土産必須です。船酔いは二日酔いよりキツいです。サッカーは素人同然てすが、島っ子は運動能力が高く、飛んだり走ったり、泳いで潜るのは凄いです。それを生かしたサッカーを考えました。噴火で避難した東京でたくさん試合ができるようになりましたが、帰島の目処がたたなかったので、子供たちをサッカーのできる学校へ転校させました。(2000年(平成12年)三宅島噴火)

ー部活動の一環として少年サッカー大会を始めたきっかけを教えてください!
三宅島時代、練習後に少年サッカースクールを週2回行なっていました。その頃から高校生が主体的に運営する少年サッカー大会をいつかやりたいと考えていました。少年サッカー大会は野津田高校時代に始めました。主に年3回の学期末に開催しています。当時の野津田高校はやんちゃな子が多く、その悪い評判を払拭するためにも少年サッカー大会を始めました。


少年サッカー大会は地域のサッカー少年の育成と地域貢献を目的としてますが、大会運営を生徒が全て行うことで、支える側の苦労を知り感謝の気持ちが芽生えるようになります。また、出身チームへの恩返しという意味でも参加チームは生徒の出身チームを中心に声をかけています。各チームに生徒が担当としてついてお手伝いもします。そんな高校生の成長した姿をジュニア時代にお世話になったコーチ方や観戦に来ている保護者に見ていただき、いつか片倉高校でサッカーをやりたいと思ってもらえたら。現在、実際に入学してプレーしている子もいます!


ー大会運営に関わる高校生たちの成長をどう感じますか?
片倉高校は、新人戦、高校総体、選手権予選などの会場校になります。比較的運営の評判がいいのは、ベースとなる「おもてなしの精神」を大切にしているからだと思います。現在、片倉高校では年に3回、府中市で年2回の少年サッカー大会運営のお手伝いをしています。プレーヤーという立場だけでなく、支える側の苦労を知ることで感謝の気持ちが芽生えるようになり、一つ一つのプレーを大切にするようになりました。

また、会場に訪れる老若男女関わらずに多くの方々へしっかりと応対できるようにもなりました。(Jリーグのボールボーイの仕事も好評です!)。これは全て、大会運営の裏方を経験することで得た成長。運営側に回ることでスポーツの場面ではプレーヤーだけでなく多くの方々が関わっていることを知ることができました。


ー最後に、本宿先生の考える部活動の意義とは!
片倉高校サッカー部は、『futbol y vida』(footballを通して人生を学ぶ)というチームスローガンのもと、高校三年間サッカー部の活動(社会の縮図)を通して多くのことを学び、サッカーの技術はもとより心身ともに逞しく成長させて、次のステージにいい人材を送り込むことを目標にしています。『footballは子どもを大人に、大人を紳士に成長させる。そして、紳士は、自分でやるべきことは何かを知って自分で努力する』(デトマール・クラマー)

『Footballを通して人作りを目指しています』

(写真・文 Suzumari26)