2023年11月11日、味の素フィールド西が丘で、第102回全国高等学校サッカー選手権大会 東京都2次予選 Bブロック 決勝「修徳高校(以下、修徳)対 堀越高校(以下、堀越)」の一戦が行われ、後半終了間際に同点に追いついた堀越がPK戦でも『自分の舞台』を楽しんだGK吉富柊斗(1)の活躍で2年ぶりの全国への切符を掴み取った。
『流れも、試合も、引き摺って来い!』試合前、少し強い表現で選手を送り出した堀越の佐藤実監督。試合は、監督の言葉通り互いの引き摺り合いで一進一退が続いた。
開始直後から積極的に仕掛ける堀越は、FW中村健太(10)を攻撃の中心に置き、持ち味の巧さと速さを駆使して修徳陣内に攻め込む。対する修徳も集中した守備でこれに対応するとカウンターから前線のFWンワンディケ・ウチェ・ブライアン世雄(9)をターゲットに反撃を仕掛ける展開。
前半、互いに持ち味を発揮したもののゴールには至らず、勝負は後半の40分へ持ち越される。すると、その後半開始早々に修徳が主導権を手繰り寄せる。45分、左サイド奥でボールをキープしたFW田島慎之佑(10)からのパスを受けたDF島田侑歩(14)がワンタッチでゴール前へ浮かすと相手マークを外したンワンディケ・ウチェ・ブライアン世雄がピンポイントで合わせ先制する。
1点を追う展開になった堀越は、更に攻撃のギアを上げると猛反撃を開始、65分にはゴール前でシュートの嵐を浴びせるものの修徳DF陣の踏ん張りでゴールを割る事が出来ない。時間は刻一刻と流れ、電光掲示板の時間表示が消えた80分、右サイドでボールを持った中村がMF渡辺隼大(6)へパス。渡辺は中村にワンツーで戻す仕草から一転、ゴール前にクロスを上げると、これをFW高谷凌太(9)が体制を崩しながらも頭で合わせ、土壇場で堀越が試合を『引き摺り』戻した。
1-1のまま迎えた延長戦も互いのぶつかり合いが続くものも決めきれず、試合はPK戦に突入。すると堀越先攻で始まったPK戦、1人目のキッカー中村をGK小森獅音(1)がジャストストップすると流れは一気に修徳へ。しかし、『止めれる気しか無かった。楽しみだった。』と言う吉富が、自身の高身長を武器に相手に圧を掛けると、修徳3人目がクロスバーに当て振り出しに。更に続く4人目をジャストストップ。しかし、決めれば勝ちの堀越5人目が小森に止められ、またもや振り出しに戻るものの、最後は修徳5人目が外してしまい、最後の最後に堀越が佐藤監督との約束を果たし試合を『引き摺り』切った。
試合後、佐藤監督は『修徳高校さんは全てにおいてクオリティが高かった。』とまずは相手の強さを讃えた。高谷の同点ゴールについては『まぁ、持ってるのかな。最後の最後にゲームを引きずり戻してくれました。』と笑顔を見せると今日の試合のテーマの『引き摺り』が繰り返されながらも、選手たちが最後の最後に勝利を勝ち取ってくれた試合がどうして生まれて来たかの経緯を報道陣の笑いを誘いながら話し、最後は『疲れました(笑)』と締め括った。
また土壇場で値千金の同点ゴールを決めた高谷は『良いボールが上がって来て、あとは当てるだけだったので、それが上手く入って良かったです。』実はこのゴールが高谷にとって今大会初ゴール。それについては『今大会の初ゴールが遅れてチームには申し訳ないですが、これを機に全国では得点王を目指したい。』と意気込みを語った。
惜しくも敗れた修徳。圧倒的に攻め込まれながらも、その中でしっかりと自分たちの形で確実に得点を挙げ、試合を主導した戦いぶりは見事だった。もつれ込んだPK戦でも小森が集中を切らさず5人目を止め、振り出しに戻す粘りを魅せた。
(取材・文 Kazuhiro.N)
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