2023年10月21日、桐光学園サッカー場で、2023年度 第102回 全国高校サッカー選手権大会 神奈川県2次予選 3回戦「桐光学園高校（以下、桐光学園）対 湘南学院高校（以下、湘南学院）」の一戦が行われた。湘南学院に先制を許した桐光学園だったが、FW宮下拓弥（9）のハットトリックを含む5ゴールで逆転勝利し、ベスト8進出を決めた。
湘南学院ボールで定刻通り始まった試合は、立ち上がりから右サイドのMF足利光政（11）のスピードあるドリブルで攻略を図る湘南学院が15分、その足利からのクロスがゴール前の混戦でルーズになったボールに反応したMF小川大翔（9）がゴールネットを揺らし先制する。
しかし、桐光学園も直後の17分、「自分が流れを変えてやる」と言う気持ちを持って右サイドでボールを受けたMF松田悠世（10）が相手DFを引きずりながらドリブルで逆サイドに移動、そのまま身体を捻って放ったシュートがゴールネットに突き刺さり、あっという間に同点に追いつく。桐光学園はその後もボールを支配するが、湘南学院も粘り強い守備で対応、結局、前半は1-1で終了する。
前半を消化不良気味で終えた桐光学園は、後半に入ると一転、ゴールラッシュで湘南学院を襲う。45分、CKをDF平田翔之介（4）が頭で叩くと、そのこぼれ球を「1-1だったので自分が逆転弾を決めたい」と詰めていた宮下が押し込み逆転に成功すると、57分には左サイドからスペースに侵入したDF加藤竣（6）が倒されPKを獲得、これを松田が確実に決めて3-1とリードを広げる。
すっかり攻撃のペースを握った桐光学園は、62分にMF齋藤俊輔（11）がゴール前に送った浮き球にDFの裏を取った宮下がGKとの1対1を落ち着いて流し込み4点目を挙げると、70分には、またもや宮下が右サイドからカットインして左足一閃、豪快にネットを揺らしハットトリックでゲームを締め括った。
試合後、桐光学園・鈴木勝大監督は「あの時間帯でもメンタリティが高揚している状態だったのでそれを少しずつ抑えるには、あのタイミングで一つ取ってくれたのがチームにとって大きかったのかと思います。」と先制を許しながらも直ぐに追いついた同点ゴールが勝利に結びついたと分析した。また、キャプテンのGK渡辺勇樹（1）は「失点はしたくなかったが、みんな冷静に出来て勝てたのは良かった。もっと無失点にこだわりを持って行きたい。」と無失点への拘りを改めて口にした。また、今後については、「このチームが大好きなので、どこのチームより長く日本で一番長い冬を過ごしたいと思います。」と力強く締め括った。
先制点をものにしながらも惜しくも敗れてしまった湘南学院。立ち上がり果敢に仕掛けた右サイド突破はスピードもあり、桐光学園のDF陣を慌てさせていた。同点に追いつかれながらもその後を崩れる事なく守備を立て直し、前半をほぼ互角に渡り合ったのは見事だった。後半、桐光学園の攻撃力に翻弄されてしまったが、最後までよく走りよく守った。
（取材・文 Kazuhiro.N）
