2023年10月7日、富士市立高校グラウンドで、高円宮杯 JFA U-18 サッカープリンスリーグ 2023 東海 第15節 「富士市立高校(以下、富士市立)対 JFAアカデミー福島U-18(以下、AC福島)」の一戦が行われ、AC福島がMF花城琳斗(10)の2ゴール1アシストの活躍で富士市立に4-0と快勝し、首位を堅守した。
富士市立のキックオフで始まったゲームは、立ち上がりからAC福島が攻撃力を爆発させる。
開始1分に花城がオープンニングシュートを放つと9分には、その花城がゴール前で得たFKをGKと壁の位置を念入りに確認すると低く速いボールをゴール右隅に突き刺し先制、主導権を握る。18分には、右サイドから花城が送った浮き球のクロスをMFの植田陸(7)がダイレクトで合わせるが、これはゴールならず。
すると26分、右サイドからMF渋川颯矢(11)が中へ折り返すとマークに付かれた花城がこれをスルー、後方で受けたMF石田然(6)が前方にワンタッチでスルーパスを通すとマークを外しポケットに侵入した花城が綺麗にゴールに流し込む。流れるような攻撃に観客席からも「アレは凄い!ヤバ過ぎる」と感嘆の声が漏れるほどの見事な追加点だった。
勢いに乗るAC福島は、31分には中盤でパスカットしたMF山崎太湧(8)がドリブルから花城とのワンツーでゴール前に抜け出すとシュート、これはGKに阻まれるがルーズボールを山崎がそのままヘディングで押し込み3点目。更に35分には、ショートコーナーのリターンを花城がファーサイドへ浮かすとDF長尾ジョシュア文典(4)が高い打点のヘディングでゴールネットを揺らし、リードを4点に広げ後半へ折り返す。
前半を一方的な展開でペースを掴めなかった富士市立。FW山崎絢心(19)を後半から投入、MF伊藤隼麿(14)と共に前線でのプレスを強めると連動してMF内木璃斗(8)のドリブルとパスが加わり攻撃が活性化する。50分には、FW佐々木英貴(9)が後半最初のシュート放つと直後の51分にはペナルティーエリア手前からFW鈴木力之丞(22)が強烈なミドルシュート。「もう少しGKとゴールを見て手中して打っていたら…」とゲーム後に悔やんでいたように、これは惜しくも枠外へ。
その後もキャプテン内木を中心に守備から攻撃の形を作った富士市立だったが、AC福島もDF余田碧(13)をピッチに送り、5バックにシステム変更してこれに対応。それでも71分には内木が混戦からボールを持ち出し、ミドルシュートを放つが、惜しくもクロスバーに阻まれ得点ならず、結局、流動的にポジションを変え、システムを巧みに操ったAC福島が前半の4点を守り抜き、勝点3を挙げた。
試合後、JFAアカデミー福島U-18・津田恵太監督は、「選手たちがよく頑張ってくれた。先週の藤枝東戦で思うようにゲームを進められなかった中で踏ん張って勝点1を取れたのも大事だったと思いますし、今日怪我人が戻って来てくれて彼らの前へ前へと出て行く良さが出ていた」とまずは選手たちの頑張りを賞賛した。また、前半の流れるような攻撃のシーンについては「新しい事を今からする事は考えておらず、これまでやって来た事の質を高めよう一週間準備して来ました。それを思い切りプレーしてくれたのは凄く良かったです。まだミスがありますので、そこは質を追及して、自分たちが目指して行くのはどこなのかをもう1回確認して良い中断期間にして欲しい」と選手たちに更なる成長を求めた。
後半の踏ん張りが惜しくも及ばなかった富士市立高校・杉山秀幸監督は「前半はボールを奪う機会を増やして貰えなかったが、後半は守備の修正から攻撃に繋げられるように改善できたのは収穫かなと思う。あとは、それがゲームの中でコミュニケーション出来て改善できて行かないと一発勝負のところで落としてしまうので…」とバタついてしまった前半を選手たちの取り組みで後半修正できた事を評価しつつ、今後の更なる改善に期待を込めた。キャプテンの内木も「前半は自分たちが後手に回ってしまった。後半は話し合って修正できた。」と後半の戦い方には今後に向けて手応えを感じていた。
高体連チームが選手権予選に入る為、プリンスリーグ東海は、11月18日の再開まで約1ヶ月半の中断に入る。一発勝負の緊張感の中で実戦を熟す(こなす)高体連チーム。トレーニングを中心に自己を磨くクラブチーム。過ごし方はそれぞれ異なるが、共に怪我人を出す事なく更なる進化を遂げて、初冬を迎えるピッチに戻って来て欲しい。
(取材・文 Kazuhiro.N)