2023年9月23日、桐蔭学園多目的グラウンドで、高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2023 関東2部 第13節「桐蔭学園高校（以下、桐蔭学園）対 桐光学園高校（以下、桐光学園）」の一戦が行われ、0-0のまま迎えた64分、桐蔭学園がCKからのチャンスでDF初見渚音（25）が決勝ゴールを決め、光蔭対決を制し勝ち点3を挙げた。
桐光学園のキックオフで幕を開けたゲームは、開始早々の1分左サイドのDF加藤竣（6）のパスを受けたMF松田悠世（10）が右足でゴールを狙うが先制はならず。
対する桐蔭学園も14分、カウンターから左サイドを駆け上がったMF園田渓太（14）が際どいシュートで応酬する。
すると直後の15分には桐光学園が左サイドからの加藤の速いクロスにFW宮下拓弥（9）が上手く頭で合わせボールはゴール左隅に入ったかと思われたが、ここは桐蔭学園のGK神保颯汰（1）に掻き出されノーゴール。桐光学園はその後も攻め続け、ゴール前で再三の決定機を作るもののフィニッシュで精度を欠き、得点する事が出来ず、前半をスコアレスで折り返す。
サイドが変わった後半は、桐蔭学園もMF谷琉真（10）が起点を作り、また前線では1年生FW瀬尾凌太（29）が空中戦で制空権を握る回数が増え、徐々にリズムを形成し始める。
すると64分、CKから桐蔭学園が膠着した試合の扉を開ける。右サイドからMF山本祐太郎がニアに蹴ったボールをMF佐野修斗（6）が枠内に頭で擦らしコースを変える。このボールはGK渡辺勇樹（1）が反応するもこぼれ球はファーへ。これに「予想はしていなかったが、こぼれて来たら良いな。」と素早く反応した初見がカバーに入ったMF羽田野絋矢（8）より一瞬速く飛び込み待望の先制点を挙げる。
思わぬ形で1点のビハインドを背負ってしまった桐光学園は、飲水明け直後から怒涛の反撃に出る。しかし、桐蔭学園も中盤で佐野がクレバーな守備から相手最終ラインの裏を浮き球で狙うなど、相手の時間を作らせない展開で試合は終盤に突入。
すると桐光学園は、加藤に代えてDF青谷舜（5）を投入、前線に起点を増やすと同時にロングスローを多用し攻撃の活性化を図るが、桐蔭学園も「前期の桐光戦でリードを追いつかれていたので、あの苦しい時間帯も互いに鼓舞するように自然と声を掛け合っていた」と神保が話してくれたように最後まで集中した守備で今回は虎の子の1点を守り切った。
試合後、桐蔭学園・八城修監督は「桐光さんと言う良いチームがあるから出来るゲームでした。我々の成長も促してくれる。ありがたいです。」と先ずは相手へのリスペクトで話を切り出した。決勝点となったセットプレーについては「うち、滅多に入らないんですけどね。ほんと珍しい。勝つと言うのはこう言う事なんでしょうね。」と驚きを見せた。更に「流れで決め切る力がつけばコンスタントにもっと良いゲームが出来てくる。そこが課題ですね。でも粘り強くゼロで抑えてくれたのは良かったです。」と選手たちへ今後の要望と労いで締め括った。
また、決勝点の御膳立てのひとりであった佐野はそのシーンについて「キッカーの（山本）祐太郎と目を合わせて『ニアに蹴ってくれ』と合図したら頷いてくれた。信じて走りこんだら本当に良いボールが来たので、しっかり触って決めたかったのですが…（初見）渚音が押し込んでくれていたので良かったです。」更にキックの前にMF山本涼（19）との間で「キー（パー）前をわざと2枚置いていて、涼に『自分のマークをブロックしてくれ』と頼んだらしっかりブロックしてくれて、どフリーになれました。」と言う駆け引きがあって、自身の得点とならなかった以外はそれが思惑通りだった事を明かしてくれた。
惜しくも痛い敗戦を喫してしまった桐光学園。前節で鈴木勝大監督が「ウチらしさを欠いたゲーム」と苦言を呈していた部分に関しては、今節では出口が見つかっていない感じだった。もう一度「気持ちのセット」を施し、次節では、本来の桐光サッカーを魅せて欲しい。
（取材・文 Kazuhiro.N）
