2023年8月5日、静岡学園高校グラウンドで、2023関東ルーキーリーグ Aリーグ 第7節「静岡学園高校(以下、静岡学園)対 桐光学園高校(以下、桐光学園)」の一戦が行われ、静岡学園がMF前田一樹(10)の決勝ゴールを守り切り、桐光学園に2-1で競り勝ち5位に浮上、Championship出場権獲得競争に名乗りを挙げた。
小気味良いドリブルにサイドをえぐる高速ドリブル、素早いショートパスが続くかと思えば、ゴール前に決定的なスルーパス、縦横無尽に人が動き、長短緩急にボールが動く、ファインダーから見える世界はまるでシューティングゲームのデモンストレーション画像を見ている様であった。
スタートからキャプテンのMF篠塚怜音(53)やMF四海星南(39)らを軸に「静学」らしさを十分に発揮し、ゲームを支配した静岡学園は16分、右サイドからMF佐々木雄基(42)がカットインで中央に切れ込み左脚一閃。ボールは豪快にゴールネットを揺らし、静岡学園が幸先良く先制する。
その後も静岡学園の波状攻撃にDFラインが上げられない桐光学園だったが、チームの信条である球際の強さで決定機を作らせず、前半を1点のビハインドで切り抜ける。
すると後半開始早々の48分CKのこぼれ球に反応したFW島津理人(19)が右足のボレーシュートを叩き込み、試合を振り出しに戻す。
しかし、静岡学園もすぐさま反撃に転じると52分、MF北田優心(41)の中央右からパスを逆サイドで受けた前田が寄せてくるGKの動きを読み切ってシュートを決め、勝ち越しに成功する。
何とか追いつきリーグ初白星に繋げたい桐光学園は、FW倉持慶太(5)のスピードを活かして相手DFの裏を狙いながら攻撃のリズムを作ると更に前線にFW清水瑛太(53)を投入、清水も期待に応えシュートシーンを作るが、静岡学園もDF大島颯太(37)らのクレバーなディフェンスでこれに対応、結局、前田の決勝ゴールを守り切った静岡学園が2-1で桐光学園に競り勝った。
見事に勝利を収めた静岡学園だったが「面白いリズムを出したり静学らしいスタイルを出したりは出来ている。ただ最終的に決めないと…攻撃的なチームと言われるのであれば2点3点と獲る勢いがないと…」と指揮官の言葉は厳しかった。これに対して「決めきれないところ、逆足のキックが課題。ここを磨けばプレーの幅も広がってくるので日頃の練習から頑張りたい(佐々木)」「(静岡学園)中学から積み重ねたものプラス周りのチームメイトが持ってきてくれたものが徐々に融合し始めている。(今付けさせてもらっている背番号10は)中学から背負ってきたもの。これからも付けられる様に努力して結果を残して、(中学時代に逃した全国制覇を超えられる様に)選手権で優勝したい。(前田)」「これまではなかなか勝ちきれなかった。ここ2試合は勝ち切れる様になった。これからもチームみんなで連携を高めて自分自身も色々吸収しながら(静岡学園のサッカーも)楽しみながら、先輩たちに絡んでいける様に努力したい。(篠塚)」と自らの現在と未来を冷静に見つめた言葉を返した。
惜しくも初白星に届かなかった桐光学園。この日、指揮を執った後藤直人コーチは「ボールを持たれるところは想定していたが、それ以上に攻撃に転じる時間が少なく苦しかった。それでも後半は勇気を持って戦おうしてくれた。自分たちにもっと厳しい目を向けてこれからも続けて欲しい。技術はみんな持っているので自分たちのペースの時には力は発揮できる。イレギュラーになった時にどうするか、(少数精鋭のチームなので)先輩たちの経験してきたものなども吸収しながら成長していって欲しい。」と選手たちの今後の成長に期待を込めて話してくれた。
関東ルーキーリーグもいよいよ大詰め。9月9日の閉幕集中開催に向けて参加するチームが「このチームでやれるサッカー」を悔いのない様に思う存分楽しんで欲しい。
(取材・文 Kazuhiro.N)