2023年7月1日、桐光学園サッカー場で、高円宮杯 JFA U-18 サッカープリンスリーグ 2023 関東2部 第9節「桐光学園高校(以下、桐光学園)対 水戸ホーリーホックユース(以下、水戸ユース)」の一戦が行われ、桐光学園が3-0で水戸ホーリーホックに完勝した。
「2点目のゴールは完全に崩して、練習していた事が形となり、それが数字に変わった。あの形というものは選手たちにとっても自信になったと思う。」試合後、2点目のゴールについて桐光学園・鈴木勝大監督はこう評価した。
前半開始早々の10分、MF齋藤俊輔(11)のクロスが相手DFに当たってオウンゴールで先制した桐光学園は、後半に入ると更に攻撃を加速した。
56分、中央の高い位置でボールを保持したMF羽田野紘矢(8)がゴール前に侵入したFW宮下拓弥(11)に絶妙なスルーパスを通すと「ファーストタッチが上手く決まってあとはタイミング良くシュート打って…良いゴールだったなって思います。」と試合後に自らも満足したファインゴールを決めてリードを広げる。勢いに乗った桐光学園は、その後もハイプレスから分厚い攻撃を駆使し、水戸ユースに反撃の機会を与えない。
すると83分、右サイドに深く攻め込んだDF杉野太一(2)からのパスを受けたMF松田悠世(10)がドリブルでペナルティエリアに侵入するとFW丸茂晴翔(18)にラストパス。丸茂は倒れ込みながらも泥臭くこのボールをゴール内に納め、桐光学園がダメ押し、前節に続き、相手を無失点に抑えて勝利し、前半戦を2位で折り返した。
惜しくも敗れた水戸ユースだったが、MF橋本峻(11)が高速ドリブルで自陣から相手ゴール前まで、再三カウンターを図るなど攻撃の糸口はあった。開始早々の8分には桐光学園・羽田野の身体を張った好守備で防がれてしまったものの、右サイドのクロスがゴール前に入り、これをFW桃井俊輔(15)が混戦の中でシュートし、先制のチャンスも演出した。
水戸ホーリーホックユースの冨田大介監督も「3-0というスコアにはなってしまいましたが、我々のシュートチャンスを決められるところもあったので悲観的にはならず、強度を含め、今日見えた差を詰めて行かなくてはならないと思います。」と選手たちの今後への期待を口にした。
インターハイ予選を含め、今日まで6試合連続で無失点を続ける桐光学園だったが、鈴木監督のコメントは辛口だった。「相手に対してノーチャンスと言うところを追求しているので、相手に勢いを与えてしまうシーンを作ってしまった事に関しては時間をかけて成熟させたい。」しかし、攻守に渡り勝利に貢献した羽田野、そしてMF小西碧波(7)のボランチについては「彼らがより良い関係性でお互いの良さを引き出し、ウィークを消して躍動してくれて、少しずつ進歩している。」と評価する事も忘れなかった。
また、奇しくもこの日は、オランダ移籍を決めたOBの小川航基選手のサポーターに向けてのセレモニーが行われていた。「僕が指導者として(桐光学園に)戻ってきてメンタリティという点で彼を上回る選手はいない。ウチの背番号9は9番ではなく『小川航基』だと思っています。同じポジションに近い選手には同じストーリーは歩まなくてもそう言う選手がJに行って世代別の日の丸をつけて世界に出ていくんだよと常々話しています。」と世界に羽ばたく教え子を讃えながら、今の教え子たちにも期待を込めた。「そう言った意味では(宮下のゴールは)良いシュートでしたね」と質問が続くと「そうですね。でも航基なら3点決めてるよってこれからミーティングで話します(笑)」と最後は和かに締め括ってくれた。
(取材・文 Kazuhiro.N)