2023年11月18日、時之栖スポーツセンター時之栖Aグラウンドで、高円宮杯 JFA U-18 サッカープリンスリーグ 2023 東海 第16節「JFAアカデミー福島U-18（以下、AC福島）対 浜松開誠館高校（以下、浜松開誠館）」の一戦が行われ、AC福島が浜松開誠館を3-1で破り勝利した。前節を終了した時点で2位につけていた清水エスパルスユースが、午前中に行われた試合で藤枝明誠に1-4で敗れ、残り試合全勝しても勝点で上回る事が出来ず、AC福島のプリンスリーグ東海での優勝が確定した。
吹き荒む風が実際の気温以上に肌寒さを感じさせる中、試合は浜松開誠館ボールで開始された。元々17名の登録メンバーを世代別代表と負傷で欠き、15名と言う限られたメンバーで戦うAC福島だったが、微塵も感じさせない攻撃力でスタートから浜松開誠館陣内に攻め込む。
開始早々の1分、ゴール前の混戦からFW吉田喬（5）がゴールを狙ったのを皮切りに、4分には相手ボールをカットしたDF長尾ジョシュア文典（4）がドリブルから果敢にゴールを狙う。徐々にペースを掴み出した浜松開誠館もカウンターから相手の裏を狙おうとするが、AC福島のDFラインの網にかかり、決定機を作る事が出来ない。
すると32分、CKのチャンスをファーサイドでマークを外したDF林晃希（2）がヘディングで合わせAC福島が先制する。勢いに乗るAC福島は、40分にも左サイドをドリブルで崩したMF渋川颯也（11）からのラストパスを受けたMF田丸太陽（16）がゴール前で決定的なシュートを放つが、惜しくもバーを超え追加点とはならない。結局、前半はAC福島の1点リードで折り返す。
反撃に出たい浜松開誠館は、後半開始早々の48分、CKからFW戸枝大耀（2）がゴールを狙ったのを皮切りに徐々に攻撃の圧を上げていく。しかし、58分に観客席で急病人が発生、救急車が入り試合が中断するハプニング。約10分の中断を経て再開されるが、直後、試合を動かしたのはAC福島だった。
60分、ゴール正面での混戦からのこぼれ球を田丸が押し込み追加点を挙げると、65分には、その田丸のCKをファーで待ち構えたMF山崎太湧（8）がダイレクトで豪快に合わせ、リードを3点に広げる。
残り時間、必死に反撃を試みた浜松開誠館だったが、88分にFW菅原太一（9）がGKとの1対1を落ち着いて決め1点を返したものの、結局3-1でAC福島が勝利を収めた。
試合後、見事にプリンスリーグ東海を制したJFAアカデミー福島U-18・津田恵太監督は、『選手たちが良く頑張ってくれたと思いますし、スタッフたちもハードワークをしてくれましたので、僕としては感謝、感謝、感謝です。奇跡とか偶然ではなく、積み上げてきた物があったので（優勝が）狙えるチャンスはチームがスタートする前からあると思っていましたし、それだけの事をやってきているという自負もありました。選手たちがハードワークする意識を持ってやり続けてくれたので、選手たちが自分たちで掴んだ優勝かなと思います。』と選手たちの頑張りとスタッフの想いがひとつになって勝ち取った優勝であったと噛み締めるように話した。
決勝ゴールを決めた田丸は、『特に意識はしていませんでしたが、今日は点を取りたいと思っていたので良かったです。これまでキツイ事がありましたが、少ない人数でもみんなで乗り越えてきて、結果がついてきて良かったです。』と自身のゴールと仲間と掴んだ優勝を喜んだ。また、これまでのSBではなくCBとして大事な一戦に臨んだ林は『この1年間17人と言う少ない人数でやってきて、苦しい事の方が多くて悩んだ時期もありましたが、気持ちよくホームで勝って優勝を決める事が出来て良かったです。これまで色々な方に支えて来てもらった。その方々にも（優勝という結果で）感謝を伝えられて良かったです。』と感謝の気持ちを語った。そして、攻守に渡ってチームを波に乗せた山崎は『率直に嬉しいですが、まだ2試合残っていますし、自分の将来に繋げるためにも自分のプレーの質に拘って（あと2試合）やって行きたいです。』と最後まで全力で取り組む姿勢を誓ってくれた。
17名という限られた人数でラストシーズンを戦ってきたAC福島。夏以降、負傷者で苦しい時期もあったが、個々のスキルの高さを活かしてマルチにポジションを熟し、勝利を切らす事なく目標としていた優勝を見事に勝ち取った。いよいよ次週は、時之栖でのラストゲーム。これまで培った全てを発揮し、支えてきてくれた多くの人々に感謝の気持ちを『勝利』と言う形で魅せて欲しい。
（取材・文 Kazuhiro.N）
