2023年7月7日、時之栖スポーツセンター時之栖Aグラウンドで、高円宮杯 JFA U-18 サッカープリンスリーグ 2023 東海 第9節「JFAアカデミー福島U-18(以下、AC福島)対 清水エスパルスユース(以下、清水ユース)」の一戦が行われ、清水ユースがFW田中侍賢(11)の2ゴールで逆転勝ちし、AC福島の無敗更新にストップをかけた。
午前中から立ち込める深い霧がピッチを覆い、開始が危ぶまれたが、試合は予定通り16時にキックオフされた。
各選手がピッチに馴染む間もない3分、試合はいきなり動く。この日、急遽、清水ユースのCBの一角を任されたプリンス初先発の1年生DF岩見健琉(28)がFW吉田喬(5)の縦への突破を倒してしまいPKを与えてしまう。AC福島は、このファーストチャンスをMF花城琳斗(10)が落ち着いてゴール左隅に蹴り込み幸先よく先制する。
主導権を握ったAC福島は、反撃に出る清水ユースに対しDF長尾ジョシュア文典(4)が広いエリアをカバー、加えてDF阿部琉星(3)、MF山崎太湧(8)が的確なハードワークで対応、カウンターから花城と吉田がシンプルにゴール前までボールを運び試合を優位に進める。
これに対し清水ユースも15分に左サイドからゴール前にMF星戸成(7)が侵入、これをAC福島のGK和泉空良(1)飛び出して阻止するが、セカンドボールをDF岩崎海駕(2)が回収、浮き球を送るとMF西原源樹(14)が空になったゴールにヘディングで合わせるが、間一髪戻った和泉の好セーブで同点ゴールが奪えない。
清水ユースは30分にもCKのこぼれ球をMF太田成美(5)がボレーで合わせるが、バーを超え、勝負は後半へ持ち越される。
早い時間帯で試合を振り出しに戻したい清水ユースだったが、意外な形でその時は訪れる。58分、高い位置で相手ボールを奪った星戸がゴール前の田中へパス。田中はこれを落ち着いて決め、清水ユースが追いつく。清水ユースは更に2分後、右サイドから侵入した西原が逆サイドに素早く低いパスを送ると、これを再び田中がゴールに流し込み逆転。
不用意なミスから逆転を許してしまったAC福島だったが「全体的に距離が長くなってしまい、相手が前向きの形で失ってしまった」と試合後、津田恵太監督はこの場面を悔やんだ。
一転、追う立場になったAC福島。72分には左サイドをドリブルで駆け上がったMF植田陸(7)がカットインから、87分にはDF坂本秀吾(17)がロングスローのこぼれ球からゴールを狙うが得点には至らず、開幕からの無敗は8でストップした。
前半戦、なかなか結果が付いてこなかった清水ユース。澤登正朗監督は「試合の入りでPKを与えてしまい悪い流れだったが、気持ちを切り替えながら戦えたところが後半の逆転に繋がった」と試合を振り返った。また「一人一人が戦うという前提の中でやらないと技術だけではどうにもならないところが(前半戦)あった。気持ちの部分を出しながらクオリティを上げていこうという目標に対して、(選手達は)よく戦ってくれた」と選手達を労った。これに対しては2得点の田中も「今日はみんな戦って良いゲームが出来ました」と満足そうだった。
惜しくも前半を負け無しでの折り返しとはならなかったAC福島。津田監督は「(プリンスリーグでは)これまで優位に試合を進める展開が多かった。今日の様に劣勢になった時にどうやって追い付いて、また流れを持ってくるのかがこのチームの課題。クラブユースでの強豪との対戦などを経験しながら(後半戦に向けて)準備して成長していきたい」と残り半年となったAC福島(静岡拠点)での選手達への更なる成長に願いを込めた。
ここから2ヶ月余りリーグは休止期間となる。苦しい夏を乗り越えて彼らがどう成長して来るのか、今からその再開が待ち遠しい。
(取材・文 Kazuhiro.N)