「誰よりも熱き男」近江屋晃輝のキャプテンとしての自覚|日本体育大学柏高校(千葉)

誰にも負けない熱い想いでチームを引っ張り続けた日体大柏3年 近江屋晃輝の高校サッカー生活がもうすぐ終わりを迎えようとしている。

第99回全国高校サッカー選手権千葉予選の準々決勝、日体大柏は習志野との試合でPK戦の末に5-4で敗れた。試合終了の笛がなり、チームメイトが泣き崩れる中、近江屋は「ほら!顔上げろ!もう泣くなって!」と一人一人に声をかけていた。
その目に涙は無かった。

彼の心の中に『悔しさ』は無く、『やり切った』という気持ちでいっぱいだったそうだ。
「1年前の選手権の準々決勝で専松に敗れたときに、自分たちの代では結果がどうであっても悔いなく、泣かずに終えたいと思ったから、それを有言実行出来て良かった」最後の公式戦を終えた近江屋の表情はとても晴れ晴れとしていた。

昨年の専松戦

今年の習志野戦

今年の習志野戦

近江屋は中学生時代は柏レイソルジュニアユースに所属していたが、ユースに上がることは出来なかった。
だが諦めず、レベルの高いところでプレーするために千葉の強豪チームのセレクションを受けるも、結果はついてこなかった。行き場がなくなり、その時はサッカーを辞めようとまで思っていたという。

そんな中最後まで声をかけ続けてくれたのが日体大柏だった。ここで3年間頑張ることを決意し、入学を決めたのが始まりだった。

近江屋に3年間の中で印象に残っている試合を尋ねると、昨年の千葉県リーグ13節の市立船橋戦しかないと即答だった。

前半の試合の流れが悪く、0-1でむかえた後半、近江屋が呼ばれた。
「そのとき何試合もベンチで、出番がなかった状況で、酒井さん(酒井直樹監督)が自分を信じてくれたっていうのもあるし、このチームを勝たせたいって思いだったり、選手権を控えていたから、絶対出たいなって気持ちが1番強くて、ここでアピールしなかったらメンバーを外れることだってあると思ったから、やってやろうって思った試合だった。」その試合で近江屋は、相手の肘があたったことで前歯が折れてしまい、一時的にピッチ外で応急処置を受けた。
だがしかし、再び戻ってきて最後まで全力で戦い続けたのだ。勝敗に関係なく、あの日のMVPは近江屋にあげたい。そのくらい強い気概を感じるプレーだった。

市立船橋戦

市立船橋戦

「技術はグラウンドで表現できるからどうしても見やすいけど、自分の長所としては見えない部分ではあるけど、メンタリティだったり、仲間にかける声だと思ってるかな。」「サッカーの技術の部分は他の人より劣ってるけど、それをカバーできるのがサッカーだから、技術だけじゃないなって思う。」
柏レイソルジュニア時代からの戦友である石川善仁は近江屋について「自分の意思が固まっていて、晃輝がいるからチームのゴールが明確になってみんなが1つになれる。」
近江屋と最も仲の良い、 関戸秀斗は「私生活はいつもうるさくて、チャラけてるけど、やっぱりグラウンドに入ると人柄が変わって、先頭に立つ人だなぁと思うし、同じポジションとしてずっと見てきたけど、追いつけないなとは思うし、性格の面でも自分の一個上だなと思う。」と言われるほど仲間からの信頼も厚い。

そんな日体大柏サッカー部のキャプテンの決め方は、部員の投票制である。近江屋たちの代でも今までと同じように投票が行われ、満場一致で近江屋に票が集まったそうだ。
「新Aチームがスタートする時点で、自分がキャプテンとして引っ張っていこうっていう思いもあったし、そういう気持ちで練習にも望んでたから、投票が行われたときも、みんなからの思いを感じていて、頑張っていこうと思った。」

「いろんな性格で、いろんな考えを持った選手がいる中で、みんなに同じコミュニケーションを取るわけにはいかないから、その人に合った伝え方で接することでよりチームをいい方向に持っていきたいって思いがあったし、時には強く言わないといけないところもあったけど、1年間通してそこは自分はブレずにやれたなと自分を評価できる。」

「日体にきて3年生でキャプテンをやって、人として成長できたし、“集団を上手くまとめるには”っていうのを技術の部分だけでなく、考えることが出来たことは大きかったし、辛いことがあった時に支えてくれる仲間やコーチ、先生方もいてくれたことはほんとに感謝していて、自分に合った1番いい環境だったんじゃないかなって思う。」
1年前、初めてキャプテンマークを巻いた日は、腕が細すぎてずり落ちてきてしまうのを必死で押さえていた近江屋が、今ではたくさんの仲間から慕われる頼もしいキャプテンである。

また、日体サッカー部の好きなところは?と尋ねると、少し悩みながらも「ONとOFFがはっきりしてるところ」「ピッチに入ったらやることはしっかりやるし、100%以上のものを練習でも出して欲しいっていうのはいつも言っていたし、その中でみんながサボることもなく、期待に応えてくれていて、このチームいいなって思ったし、その分試合が終わってからは楽しく話をしたり、ふざけあったりできるところもいいなって思う。」と答えてくれた。
本当に仲が良く、隙さえあればちょっかいを出し合ってふざけ合っている彼らだか、スイッチが入った途端彼らのオーラが変わり、目つきも変わる。試合前に行うアップでの迫力ある声出しは、その会場の雰囲気さえも引き締めるほどだ。

試合後

試合前のアップの様子

試合前のアップの様子

近江屋の大学での目標は、“試合をつくる選手から決める選手になること”だ。プロになるためには、やはり結果が求められてくる。そのために中盤からでも点を決めることができ、アシストもできる選手を目指していくという。

「自分次第で人生は絶対に変わるから、これから自分を変えていきたい。」

真剣な眼差しでそう語る彼がこれからどんな変化を遂げていくのか、4年後にはどんなサッカー選手になっているのかとても楽しみだ。
小さい頃からの夢であるプロサッカー選手になって、両親やお世話になったコーチ達に恩返しをするため、近江屋晃輝はこれからも誰よりも熱くサッカーと、自分自身と、向き合い続けるだろう。

3年間お疲れ様、ありがとう。そしてこれからも頑張れ晃輝!!

[写真・文]=yuka yamamoto

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