2021年3月20日、Growth Cup Kanagawa U-15 2020の準決勝「瀬谷インターナショナルフットボール(以下、瀬谷)対大豆戸FC(以下、大豆戸)」の一戦がかもめパークで行われた。
今大会のダークホースである瀬谷と強豪大豆戸FCの対戦カードとなった準決勝は、波乱を感じさせる立ち上がりとなった。瀬谷のキックオフで始まったファーストプレー、大豆戸のディフェンスラインが大きく前線へ蹴り出されたボールを拾った。余裕を持って最終ラインからビルドアップしていこうとしたところ、センターバックが足を滑らせゴールに向かう方向のパスがルーズになった。すかさず木村飛祐(21)が詰め、ゴールキーパーと1対1になりかけたところを斜め後ろから入るかたちでタックルを受け、これがPKの判定。開始10秒で瀬谷が千載一遇のチャンスを迎えた。
キッカーは瀬谷のエース加田隼士(15)。右足インサイドで狙い澄ましたボールはゴール右へ鋭く放たれた。しかし、大豆戸ゴールキーパー早川陽人(37)がコースを読み切った見事な横っ飛びで弾き出した。大豆戸が強豪たる所以を見せるかのようにピンチを凌いでみせると、その後は決して浮き足立つことなく後方からのビルドアップで様子を伺う。一方の瀬谷は、ロングボールとロングスローを主体に大豆戸陣地でのプレー時間を長くしていく。
19分、再び瀬谷が大豆戸ゴールを脅かす。左サイドでコーナーキックを得ると、加田隼士(15)が山なりのボールをファーサイドへ送った。これに木村飛祐(21)がヘディングで競り勝つと大豆戸ディフェンスが頭で逸らしたボールがクロスバーに叩く。ここまで瀬谷の攻勢に押され気味だった大豆戸だが、この直後から大豆戸の時間帯となる。細かいパスを繋ぎサイドを崩すかたちでゴール前まで迫っていく。24分、大豆戸が向いてきた流れをものにする。スローインから右サイドを崩すと新妻樹(18)がグラウンダーのクロスを送る。これに時枝佑太郎(17)が右足で合わせ先制点とした。
大豆戸リードで前半を折り返すと、後半開始早々試合が動いた。小田智輝(4)のロングフィードから瀬谷が右サイドでコーナーキックを獲得する。キッカーの加田隼士(15)が右足で鋭いボールをゴールエリア付近に送ると、岡田夢月(9)が頭で合わせ同点のゴールを決めた。振り出しに戻った試合は、両者の激しい攻防が続く。大豆戸は途中出場の浦崎大地(5)、鈴木翔瑛(13)のコンビネーションで左サイドの切り崩しが目立つ。瀬谷は組織的な守備で決定機を作らせず、縦に早い攻撃を一貫して続ける。すると、ここまで徹底して繰り返してきた岡田夢月(9)のロングスローからチャンスが生まれる。大豆戸陣地の浅い位置から岡田がロングスローでペナルティエリア内へボールを送ると競り合いから混戦となる。ボールが一瞬ルーズとなった隙を突き岡崎龍磨(27)が右足を振り抜きゲット。瀬谷が勝ち越しに成功する。
ここからさらに瀬谷の攻勢が増していく。岡崎の勝ち越し弾から約10分後の55分、右サイドで渡邉凌太(11)が倒されフリーキックを獲得する。これを再び加田がゴール前へ送るとキャプテン石田逢良(14)が打点の高いヘディングで合わせ決勝進出を大きく手繰り寄せる追加点を獲得した。
その後も両チーム気持ちの入った激しい攻防を続けるもそのままタイムアップ。ダークホースの瀬谷がついに決勝の舞台へ駒を進めた。