2020年12月31日、第99回全国高校サッカー選手権大会1回戦「関東第一(東京都B)対山辺(奈良県)」の一戦が千葉県ゼットエーオリプリスタジアムで行われた。
昨年、西が丘の東京都大会準決勝で悔し涙を流した東京B代表の関東第一は3年ぶり3度目の全国大会出場。対する奈良県代表の山辺は創部4年目で初の全国出場を果たした。関東第一は予選から大きなメンバーチェンジはないもののポジションのコンバートでチームの精度を向上。対する山辺は今大会1年生を主力とした精鋭陣で挑む。
試合は立ち上がりから関東第一が主導県を握る。前半2分には相手のパスミスに反応した笠井佳祐(10/VIVAIO船橋)がボールを奪うとドリブルで持ち込みシュートを放つがこれはバーの上へ。対する山辺は中川泰玖(25/伊賀FC)らの体を張った守備から1年生でキャプテンマークを巻く太田凱翔(9/鹿島アントラーズつくば)にボールを繋ぐも、鹿股翼(2/東急Sレイエス)ら関東第一のディフェンス陣に阻まれシュートを打つまでに至らない。
関東第一は守備から丁寧にビルドアップすると中盤で細かくパスを繋ぎゴール前へと攻め込んでいく。18分には弓氣田葵(8/ジェフ千葉)のロングスローに類家暁(14/東京SC)が右足で合わせるもこれは山辺のゴールキーパー・志賀隼太(1/大阪SS2001)のファインセーブに阻まれる。その後も、鹿股からパスを受けた類家が宇山輝(11/FC杉野Jrユース)とのワンツーで左サイドから攻め上がりチャンスをつくるも、山辺の必死のディフェンスに得点まで至らずスコアレスで前半を折り返す。
しかし、ハーフタイムを挟み関東第一は平田晟也(18/FRIENDLY)を投入すると空気が一変する。後半開始3分、菅原涼太(5/SCH)がゴール前へ浮かせたロングパスを送ると、それに反応した平田が裏へ抜け出しワントラップで右足を振り抜くと、相手ゴールキーパーが弾いたところを笠井が右足で押し込み先制点する。続く6分には、再び菅原からのロングパスに平田がボールを受けると落ち着いたワンタッチプレーで相手ゴールキーパーを落ち着いてゴールに流し込み追加点。
山辺は一瞬の隙に太田がボールを持ち攻め上がるシーンもあるが、関東一の鉄壁の守備に阻まれ流れを掴むことが出来ず防戦一方の厳しい時間帯が続く。後半24分には、藤井日向(13/C.A.ALEGRE)からパスを受けた肥田野がドリブルで持ち上がると笠井にラストパス。笠井はそれを落ち着いて右足でゴールに流し込みリードを3点に広げた。35分には、山辺の自陣ゴール前でのパスミスを拾った笠井がそのまま押し込みこの日3点目となるゴールを決め、ハットトリック達成。試合はこの4点を守りきり完封勝利した関東第一が2回戦進出を決めた。
無観客の会場には全国大会出場を記念して作られた関東第一の巨大な横断幕が観客席いっぱいに掲げられていた。自粛中でも全国へのモチベーションを落とすことなく努力を積み重ねてきた成果を今思う存分発揮しており、2回戦以降の躍進が期待される。
(文:Suzumari26)
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