2020年12月12日、高円宮杯 JFA 第32回全日本U-15サッカー選手権大会の1回戦「日章学園中学校(九州3/宮崎県)対東急SレイエスFC U-15(関東8/神奈川県)」の一戦がコーエィ前橋フットボールセンターで行われた。
序盤、レイエスは左に武藤光希(5)、右に桜井勇樹(15)が大きく張ることでピッチを広く使いサイドから崩しにかかる。一方、日章学園はロングボールを多用し競り合いの強さを武器にチャンスを伺う。すると8分、日章学園が浅い位置でフリーキックを獲得すると、キッカー安藤知生(18)からゴール前に送られたボールに藤本晃士(3)が競り勝ちヘディングで先制点を決める。
早い時間帯にビハインドを許したレイエスだったが、浮き足立つことはなくキャプテン西田遥翔(25)を中心に最終ラインからビルドアップしつつサイドへの展開でチャンスメイクを試みる。23分には、桜井勇樹(15)が右サイドを突破しパスを受けた山脇幹大(9)がマイナス方向に落とすと、走り込んだ武藤光希(5)が十分な助走から強烈なシュートを放つも日章学園ゴールキーパー吉村元翔(1)に阻まれる。36分にも武藤光希(5)が相手ディフェンダーを2枚背負いながらもエリア内に持ち込みチャンスを作るが最後の最後で決めきることができない。
日章学園リードのまま前半を終えようとした39分、レイエスが中央突破からチャンスを掴む。山本泰生(8)、馬場翔大(7)が細かいパスワークでエリア内に持ち込みトップの山脇幹大(9)にボールを渡す。ゴールを背にする形で受けた山脇だったが、圧倒的な球際の強さを見せ相手ディフェンダーをかき分けるように振り向きシュート。全国を決めた関東大会決勝に続き今大会でもストライカーとしての仕事を果たし試合を振り出しに戻した。
後半に入ると、レイエスが交代出場の元木湊大(3)を中心に攻勢をかける。しかし、ゴールネットが揺れることなく10分ほどが過ぎ、そこからしばらくは互いに牽制し合うようなかたちで膠着状態に入る。
タイムアップが近づいていくなかで、徐々にゲームのスピード感が増していく。そして再び試合が動いたのは、80分が目前に迫った79分。中盤での激しい奪い合いが続くなかでレイエス陣地のペナルティエリアまでボールが押し込まれていく。ルーズボールを安藤優翔(8)が頭でゴールエリア付近に入れると、これを梶原壮一郎(11)が押し込み日章学園が土壇場で勝利を大きく手繰り寄せる追加点を決める。
残り時間少なくこのままタイムアップ。どちらに転ぶともわからない接戦を制し日章学園が2回戦進出を勝ち取った。
レイエスの宮島俊監督は「全国が決まってからは"これまでで一番良い準備をしよう"と声をかけてきた。関東大会を通して自分たちの型を掴めてきた感覚はあったが、相手の守備力が高かった。」と試合を振り返った。また、初の高円宮杯全国出場については「今まで越えられなかった壁を乗り越えて全国出場したことが大きな収穫になった。」と選手たちを称えた。
初の全国出場までチームを牽引してきたレイエスのキャプテン西田遥翔(25)は「悔いなくやり切れたが、相手の方が上だった。」と悔しさを滲ませつつも、これから主体となる後輩たちに向けては「必ずまた全国出場して、自分たちより上にいってほしい。」と言葉を残した。